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最近の批評から

ベアトリス・ド・アンディア

(パリ市芸術活動調査委員)

普遍的な言語である芸術がアンナ・フィリモノーヴァの多面的な魂を映しだしている。たえず変化してやまない彼女の絵画は、彼女の生の冒険そのものなのだ。それは騎乗の旅人となってかずかずの文明と規範を横切ってゆく。馬を休めるたびに彼女を呼びとめ、魅惑することをやめない。アンナの航跡には、かわるがわる移ろいゆくもののなかに紛れこんだり、具体的現実に身をひたしたりする彼女の姿がある。

ソヴィエト水彩画コンクール一等を受賞、一年間の奨学金を得てフランスのパリ国際芸術都市に派遣されたアンナは、サン=ルイ島をのぞむ瀟洒なアトリエから「西欧」を目のあたりにし、まさにその「西欧」によって転身をとげる。

パリが彼女の第二の都市となる。その虹色にきらめく光線に彼女のカンバスは席巻される。アンナは地球的規模で旋回する渦に陶酔し、心を奪われる。そして人と人との断絶、民族間の対比、矛盾に引き裂かれ、混沌と予感に襲われながら、彼女はセーヌ川を、サクレ=クール寺院を、エッフェル塔を、都市の迷路を描いてゆく。激動と変貌が支配する無秩序のただなかで、虹色の細かなタッチで彼女が紡ぎあげてゆくもの、それはひとつの和解へと差しのべられた蜘蛛の緯糸である。

彼女の色彩のタッチは複数の文化を思い起こさせ、それらを融合するものだ。ロシア正教会のとカトリック教会のきらめくのかげで、彼女は大いなる創造的飛躍によってこれらの宗教を混淆し、両者の個別性を乗り越えてしまうのだ。

(回顧展カタログ『宇宙の果てで』序文より)

 

ジョフロワ・ド・ヴィルパン

重要なのは速度の観念であり、それはおそらくブレジネフ時代の彼女の少女期が、あまりにも長く昏睡状態にとどめられていたことから説明できる。街角から街角へ、都市から都市へ、彼女は移動することを好んでやまない ––  世界はもはやひとつの巨大なメガロポリスにほかならず、その青緑色の空には大都市の塔という塔が交錯し、それらもまた、やがてひとつの巨大なバベルの塔になろうとしているのだ。

回顧展カタログ『宇宙の果てで』所収の批評より)

 

ローランス・モレシャン

同時代的であること、それは流行を追うことを意味するのではない。情熱的で、誠実で、気取りなどとは無縁のひと、アンナ・フィリモノーヴァは、だれにたいしてであれ、ひとに好かれようとつとめることをしないのに、粘りづよく自己を知ろうとするうちにいつのまにかひとに好かれてしまう、そんな独立したアーチストのひとりだ。真の芸術再生の精神に突き動かされた彼女は、芸術活動に深いよろこびの源を見いだし、ひとつの具象世界に生命を与えることに成功している。それは幻想的で見る者の心を惹きつけ、ファンタジーとユーモアにみちていて、そしてなによりも夢に多くの部分をささげていている世界……

都会的な洗練と田園の素朴さのあいだに、欲望と失墜のあいだに、人間的な素朴さにみちた子どもの魂をかいまみせるアンナ・フィリモノーヴァ、彼女が打ちたてようとする世界の見取図に触れるだけでも、会場に足を運ぶ価値は十分すぎるほどあるというべきだろう。

(『国際女性画家』誌「アンナ・フィリモノーヴァミミ2000年代の人類にとってルーツとは?」より)

 

 

 

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